パッシブ運用とは何か。メリットとデメリット

パッシブ運用とは何か。メリットとデメリット

1. パッシブ運用とは

投資信託などの運用手法による分類のひとつ。別呼称でインデックス投資とも。
運用目標とされるベンチマーク(日経平均株価やTOPIXなどの指標)に連動する運用成果を目指す運用手法のことをいいます。
日本において運用資産の67%、米国においては37%がパッシブ型の運用方法で占められています。

2. パッシブ運用のメリット

アクティブ運用よりインデックス運用が人気な理由
株価指数の数は、10年前の1,000種未満から現在はなんと6,000種に達しています。
今や米国の個別銘柄の数よりも、株価指数の方が数が多いのです。
アクティブ運用とインデックス運用の任期は明らかで、投資家はアクティブ運用から資金を引き揚げてパッシブ運用に振り向けています。

上記図の中で黒いバーがパッシブファンド、赤いバーがアクティブファンドの資金流入額を示していますが、確かに、16年中、アクティブファンドからは資金が出てマイナスになっている一方で、パッシブファンドは順調に資金が入っています。
モーニングスターによりますと、パッシブ運用のミューチュアルファンドとETFに今年1~5月累計で3380億ドルが流入したとのこと。これは昨年の過去最高の5,060億ドルの流入に加えての数ですから、このペースが維持できれば、今年の流入額は8,000億ドルを上回る可能性があります。
アクティブ運用よりパッシブ運用が人気な理由としては、以下の理由が考えられると思います。

●コストが安い
●投資戦略へのアクセスが簡単である
●スマート・ベータETFの台頭
●パッシブ運用の方がパフォーマンスがいい

一般的に、投資対象がほぼ同じファンドの場合、アクティブ運用よりもパッシブ運用のほうが、投資戦略の立案やその戦略に基づく投資対象の選定などをすることなく、機械的に運用できる分、販売手数料や信託報酬などのコストは少なく済みます
また、先物やデリバティブを組み込んだETF銘柄の組成も活発であるため、フレキシブルなポートフォリオも作成しやすいという利便性から、安くて便利な運用方法を投資家が好むのは必然でしょう。
さらに、一部のETFは投資家に対して、スマート・ベータと呼ばれるハイブリッド型のアプローチを提供しています。
スマート・ベータとは、従来の時価総額型の指数のように市場全体の平均や値動きを代表する指数ではなく、財務指標(売上高、営業キャッシュフロー、配当金など)や株価の変動率など銘柄の特定の要素に基づいて構成された指数で、スマートは賢い、ベータは市場平均連動性を意味します。
平たく言うと、広範な銘柄群を時価総額で加重した「市場指数」に対して、
①特定の属性を持つ銘柄を対象としている
②時価総額以外の基準の2点のウェイトで付与されることで構成される指数のこと。

単に、昔ながらのクォンツ投資にすぎないのですが、このようなETFはアクティブ戦略を採用しており、一定の指標またはファンダメンタルズに基づいて銘柄を選択し、株価指数の基本となる手法を創造します。
このような株価指数は、市場を切り取ったものではなくなりますが、依然としてパッシブ投資とカテゴライズされるのです。
基本的にスマートベータETFを好む投資家は、ETFを投資信託とは思っておらず、単にコードがついた「個別銘柄」であるという考え方をするようで、このことから、パッシブ運用の市場での存在感は抜群、という現象がおきているのです。
運用商品の優劣比較でも、現状で、アクティブ運用の商品は、パフォーマンスの平均がインデックス運用を下回っています。
以上のことから、どうしてもアクティブファンドはインデックスファンドより劣っていると判断せざるを得ません。
故に、パッシブ運用に人気が集まっているのです。

超緩和的金融情勢がインデックス運用を急増させた
さらに、世界的金融緩和により、各国の中央銀行が株価水準の判断に関係なくETFを買うことによる株価全般の押し上げた、ということも事実でしょう。
日本銀行は、現在すでにGPIFに次ぐ日本株の大手保有主体となり、今後しばらく年間6兆円といういささか常軌を逸したペースで日本株を買う姿勢を崩していません。彼らの株式投資は、大きな部分をインデックス運用が占めています。
つまり、GPIFを通じても、日銀を通じても、インデックス運用が拡大しているということです。

3. パッシブ運用のデメリット

パッシブ運用の悪影響について
●パッシブ運用は適正な株価の価格形成を歪ませる
時価総額加重の株価指数の場合、インデックス運用者は、既にオーバーウェートされ、往々にして割高な銘柄を積み増すしか方法が無くなります。アンダーウェートされている銘柄を無視し、割高な銘柄を買い続けたらどうなるでしょうか?結果は誰でも想像が出来ます。
バンクオブアメリカ・メリルリンチのストラテジストであるサビタ・スブラマニアン氏は、パッシブ運用の影響を調査したところ、「アクティブ運用ファンドはパッシブ運用ファンドをアンダーパフォームしており、アクティブ運用ファンドは解約のたびに現金を調達するためにオーバーウエートされている銘柄を売らねばならない。そのような集中リスクは、配分が調整される傾向にある四半期末に特に深刻だ」と語っています。
この、「割高な株価が形成されている」という推論は、推定された株価形成の歪みがいつか適正な価格に戻る時点で、大きなリスクとなり得ることを肝に銘じておかなくてはいけません。

●浮動株が減るため、ボラティリティが高くなる
パッシブ運用ファンドが増加すると、他の投資家にとって取引可能な浮動株が減るため、パッシブ運用ファンドの比率が高い銘柄はボラティリティが高くなります。
パッシブ運用ファンドで最も広く保有されている100銘柄を調査した結果、真の浮動株比率はすべての銘柄の平均の85.2%に対して81.5%になると見出しています。その結果、100銘柄の過去のボラティリティは24.5%(全銘柄は20.9%)、株価の最大下落率は30.3%(全銘柄は23.7%)でした。
以上の数字から、指数に採用されている銘柄の浮動株は減り、指数に採用されていない銘柄より極端な株価の動きが観測される危険性があります。

4. まとめ

インデックス運用は、有体に言えば「人々の英知にただ乗りできる」運用方法です。
個別銘柄の業績・財務体制・企業姿勢を分析する必要などなく、追随する株価指数の構成比に応じて銘柄に投資しておけばいいだけ。これほど楽な運用方法はありません。ですが、だからといって、すべての運用方法がパッシブ運用になってしまえば、それは市場にとってプラスであるとは思えません。現状は市場に影響を及ぼすにはパッシブ運用の割合は低い、という議論もあるようですが、しかしそれは希望的な考え方のように聞こえます。
個人投資家に多くの利点を提供し、安価で、セクターやテーマへの思惑が容易に実行でき、誤った株式に投資する心配もないパッシブ運用。故に、投資初心者には推奨しやすい商品であることは間違いないですし、私も、自分で運用をするとしたら、こうしたインデックス型でポートフォリオを組むでしょう。
ですが、問題点とリスクがあることも念頭に置き、本当に必要な運用方法を選べるようになることが一番であると思います。

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