仕組債は儲かる?仕組債の魅力をわかりやすく解説

「仕組債」という金融商品のことを知っていますか?

 

1980年代から法人向けに販売されていたこの商品。
最近は個人の投資家向けに販売する証券会社が増えたため、「証券マンから仕組債を勧められた」という人も多いのでは。

 

実際に証券会社の人間から勧誘されて、果たしてこの金融商品は儲かるのか、買ってもいい金融商品なのか、仕組債のしくみを知らずに判断するのは難しいと思います。

結論から言いますと、

仕組債という金融商品は「儲かるっちゃ儲かるけど、投資タイミングが難しい」商品です。

「儲かる」という定義が、自分が拠出した金額以上になることを指すのであれば、仕組債は十分儲かる金融商品です。
ですが、仕組債はその複雑なしくみ故に、投資する際には注意が必要な商品でもあります。

 

私は証券会社で「仕組債」を組成する側の人間でしたので、
仕組債を買うべきタイミングや、こんな投資家は仕組債に向いていると感じる場面を多く経験してきました。

 

また一方で、こんな投資環境で仕組債を勧誘するとは、けしからん証券マンだなという場面にも同じように多く遭遇してきたのです。

 

その時の経験からこの記事では、仕組債の正しい知識をつけることを前提として、

  • 仕組債の魅力とは
  • 仕組債に投資してもいいタイミングとは
  • 仕組債で儲けるため・損をしないための投資家の心得

以上の点について解説していきたいと思います。

仕組債が儲かるしくみとは

仕組債は通常の債券とは全く異なります。よく債券と混同され、「リスクが株や投資信託より低い商品」と間違った認識をされやすいですが、仕組債の商品内容は「金融デリバティブを駆使した金融派生商品」ですので、高リスクな金融商品になります。

 

では、仕組み債がどうして「儲かる」のか、その仕組みを見ていきましょう。

一般的な仕組債は次のようなしくみとなります。

【一般的な仕組債の図】

仕組債のしくみを分かりやすく図解1

この図は一般的な仕組債に投資した場合に得られるリターンの関係を図解したものです。

まず、仕組債を組成する段階で、「対象資産」を決定します。ここでは仮に日経平均株価とします。
日経平均株価が以下の条件の時、高クーポンが投資家に付与されます。

  • 早期償還水準より超えず、かつノックイン水準を割らない範囲で推移した場合(青い線の動きをした場合)
  • ノックイン水準を割り込んだとしても、償還時の対象資産が当初価格を上回った場合(緑色の線の動きをした場合)

円建てで年率5%を超える金利を貰えるのはとても魅力的に見えますね。
これが、「仕組債が儲かる理由」です。

 

ですが、注目してほしいのはムラサキ色の線です。
仮に日経平均株価が、このムラサキ色の線のように推移すると、元本が毀損されて償還されてしまいます。

このことから、仕組債は対象資産が想定した範囲内で推移した場合に限り儲かる金融商品」であると言い換えることができます。

仕組債の魅力とは

仕組債に投資をする魅力はどこにあるのでしょうか?

 

ずばり、「投資をしようとしている資産の下落リスクの発生確率を可能な限り低減することです。

 

投資の多くは、その投資先の資産が上昇していくことを期待して行うものです。
ですが、未来永劫、右肩上がりに上がり続けるという資産はこの世には存在しません。
順調に成長してきている米国市場でさえ、様々な下落リスクを乗り越えて今があります。

 

そんな不安定な金融市場の中で、資産を増やし続けるために効率のいいやり方は無いものか?

そう考える投資家は少なくないのは無理もないことです。

 

そこで、金融に詳しい頭のいい人は考えました。
「ならば、下落するリスクを可能な限り排除してしまえばいい」

 

この、「下落リスクを可能な限り排除するため」にどうしたかというと、

対象資産の上昇幅で得られるリターンを放棄する代わりに、ある一定の下落時までは元本が100%で返還されるしくみをつけたのが仕組債の発端になります。

 

仕組債の魅力まとめ

  • 収益が右肩上がりの相場に必ずしも依存しない
  • 原資産との対比で相場の下落リスクを抑制した商品の組成が可能
  • 原資産の選択が可能
  • 目標収益や相場観に応じた組成が出来る柔軟性

 

仕組債をおすすめできるのはこんな投資家

以上の観点から、仕組債をおすすめできる投資家さんはこんな人です。

  • 相場に詳しく、自分で投資判断が出来る
  • プロが投資を行う投資信託のようなパック商品は嫌い
  • 投資判断は自分の相場観で行いたい
  • 相場の難しさを理解しており、それでも安定的なリターンを望みたい

 

相場観を反映させたい投資家にとって、情報が無い・理解できない投資対象が含まれる投資信託のポートフォリオよりも、集中投資でありながら、対象資産の下落リスクを抑制した仕組債の方が魅力的な場合もあるわけです。

 

仕組債で儲けるための投資家の心得とは

仕組み債の魅力についてここまで見てきました。
それではここからは、仕組債を利用して資産を増やす戦略についてお話します。

 

仕組債で儲けることができるのはこんなシーン

  • 右肩上がりの上層相場になりにくい・踊り場相場時
  • 下落の幅が限定的なのが想定出来て、かついつ上昇するか予想がしにくい相場の時
  • 相場の見通しが立たないため投資戦略を練りにくいが、置いておくだけの資金がもったいない時

 

実際に仕組債で儲けている投資家の事例

法人で運用を行いたい顧客がいました。
年率2%程度の安定収益を円建てでほしいお客様です。
今のゼロ金利政策では円建てで2%の配当利回りを得られるポートフォリオを組むには、ある程度の下落リスクを考慮しないと叶わない市場環境です。
そこで、日経平均株価を対象資産に設定し、ノックイン水準を40%に設定した仕組債を組成しました。
これは、「日経平均株価が60%以上下落しなければ、元本既存は無い」ことを意味します。28,000円近辺の日経平均株価が、11,200円まで下落しなければOK。
この水準であれば、安定的に収益が見込めそうです。

 

このように、仕組債は、「自分がここまでの下落相場はありえない」と思える水準で理想の利回りを確保できる金融商品です。
ノックイン水準やノックアウト水準、クーポンを高クーポンで貰える水準などを、自分の理想通りに反映させることが出来ます。

みつぼし
他にも仕組債が有効な投資手法としてこんな場面があるよ

こんな投資需要に答えられる!仕組債の活用方法

外債の円高リスクを軽減したいなら

  • ノックイン・デュアル・カレンシー債
    円建て/2年/【4.00%/年】/償還日の10営業日前の外貨為替レートがノックイン水準以上の場合、100%円貨払/以外の場合100%外貨払
  • 円高リスク抵抗型外債
  • ノックイン・フォワード型デュアル債

 

株式市場の相場観を利回りに活かしたいなら

  • 日経リンク債
  • ノックイン条項付き他社株転換社債

 

為替差損を効率的に取り返したいなら

  • ジャンプアップ債
  • シャークフィン債
  • コール・スプレッド債

 

円安メリットを最大限享受したいなら

  • アクセラレーション・デュアル債
    円建て/3年/【0.50%/年】/判定為替が判定日にターゲット為替以上の場合:連動率2倍の円貨で償還/それ以外、外貨で償還
  • パワー・リバース・デュアル債

 

低金利政策の継続に賭けたいなら

  • 短期金利連動型デジタル・クーポン債
  • インバース・フローター債

逆にこんな時は仕組債は儲からない!買っちゃダメ!

明らかに右肩上がりの上層相場時

2011年のFRB金融緩和開始時や2013年のアベノミクスのような、明らかにリスク資産が買われるタイミングは原資産にそのまま投資するのが効率良いです。
仕組債を勧められても、このような相場時なら「その仕組債の原資産をそのまま買う」と営業マンに伝えましょう。

対象資産が割高すぎる時

対象資産を指数にするのか、個別銘柄にするのかは、その投資家の好みによるのですが、様々な対象資産でも仕組債は組むことが出来ます。
そのため、割高な対象資産であっても証券会社は高いクーポンをとれるため、組成して投資家に勧誘してくる時があります。
証券会社の証券マンに仕組債を勧められたときは、その仕組債の投資対象が何なのか、そしてその対象資産が割高ではないのかをきちんと調べるようにしましょう。
そうすれば、ノックインして大損してしまう仕組債を掴んでしまうことがなくなります。

仕組債で損をしてしまった理由

この記事に検索でたどり着いて、おもいきり損をしている投資家さんがいましたら、「自分は仕組債なんて損するばかりでけしからん商品と思っているのに何事か」と思うかもしれません。

損をしてしまった投資家の多くは、証券会社の勧誘に乗ってしまった方が多いと見受けられます。

仕組債を買って損をしてしまった理由

  • 対象資産が割高すぎて下落リスクの方が高いことに気づけなかった
  • 高クーポンに目がくらんで対象資産の変動幅に気を配らなかった

といったような、「買い」を決断した時の相場観が間違っていたことが多いと推測されます。

 

最近、金融庁が仕組債を販売する証券会社に対しての規制を強化する発表がありました。
世間一般的に、「仕組債はプロが行う投資手法であり、投資初心者や投資経験が浅い投資家への勧誘は行うべきではない」ときちんとした指標を出しています。

仕組債は「複雑な金融商品」であり、リスクは株や投資信託のように当然ある、という認識を投資家の皆さんも持つべきです。

もし、仕組債で大損してしまった投資家さんがいらっしゃったらこちらの記事もご覧下さい。
損をしてしまった時の対処法を記載しています。

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まとめ

以上が、仕組債は儲かるのか?という疑問についての回答です。

仕組債は、相場をよく知る投資家にとっては最適解になる場合もある、というお話でした。

ですが、実際の相場は難しく、よくわかっていないのに仕組債で損をされる投資家が多いように思われます。くれぐれも、よく理解できていない方は購入は控えましょう。

 

投資に対して正しい知識を身につけ、あなたの投資ライフが良いものになりますように!