よく分かるカバードコール戦略【その戦略、危険かも?】図解でわかる投資戦略

「カバードコール戦略」という投資手法をご存じでしょうか。
最近流行りのFIRE民の中でまことしやかに囁かれるこの投資手法。

ですが、この戦略方法のからくりを知っていないと、正しい投資判断は出来ないと私は思います。
「高配当を狙うための投資手法なので、配当や分配金で生計を立てるにはちょうどいい」商品として出回ってますが、本当にそうでしょうか???
最近、カバードコール戦略って危険かもしれない、という投資家さんの認識が広がってきています。何故、この投資手法は危険だといわれるのか?

この記事では、カバードコール戦略のからくりをきちんと説明し、カバードコール戦略がふさわしい投資環境のタイミングや、逆にこんな相場ではやめた方がよい、という内容を分かりやすく解説していきます。

カバードコール戦略を取っている金融商品

  • 外国ETF代表:QYLD
  • 投資信託代表:「高配当株プレミアム」という単語が入っている投資信託

などなど。
最近のSNSで人気のインフルエンサーが好むQYLD。れっきとしたカバードコール戦略を行う外国の市場で上場されている投資信託(ETF)です。
ただこのETF、出来たのは割と最近で、米国に上場したのは2013年から。
そして、日本ではもっと前から割と「カバードコール戦略」が様々な投資信託で使われてきました。

ではなぜ今、このカバードコール戦略が見直されてきたのか?

カバードコール戦略が人気の理由

高配当を実現できる投資戦略だから

カバードコール戦略がもて囃されている背景は単純明快です。
ズバリ、高配当を実現する投資手法だから。

 

でもどうして高配当を実現できるのでしょう?

では、そのからくりをご説明します。

 

カバードコール戦略とは

保有銘柄に対するコールオプション(買う権利)の売却によって、将来の値上がり益の一部を放棄する代わりに、オプションプレミアムを獲得する投資戦略のこと。

 

はい、ちょっと難しい単語がたくさん出てきました。
コールオプション(買う権利)の売却?
オプションプレミアム?
と少し難解ですが、ここを理解できないと先へ進めないので頑張りましょう。

 

まず、コールオプション(買う権利)の売却について。
この単語はですね、オプション取引の専門用語の一つなんですね。
コールオプションの売りが有効な環境時の説明からしていきます。

 

ある資産、ここでは仮に日経平均株価としましょう。
この日経平均株価が、ある一定の株価より上昇が見込めないだろうと考えた時、
金融に詳しい人はこの日経平均株価の買う権利を売るのですよ。

図で書くとこんな感じ。

よくわかるカバードコール戦略1

すると、満期日までの間、このコールオプションを買った人からプレミアムと呼ばれるオプション料を手に入れることが出来ます。
満期日になったら、この日経平均を買い取らねばなりませんが、その満期日までに貰えるオプションプレミアム以上の下落が無ければ、損はしない、という手法です。

一見よさげな手法に見えますが、
予想が逆になって日経平均株価が思ったより値上がりしても、一定のプレミアム以上の利益は得られません。
そればかりか、大幅に下落した時の損失はその資産の価値がゼロになるまであります。

…というのがまずコールオプションの売り戦略です。

 

で、肝心のカバードコール戦略とは、現物を保有しつつ、このコールオプションの売りを行う手法です。
カバードコール戦略の説明によく出る図がこちら。

よくわかるカバードコール戦略2

カバードコール戦略の収益源

対象資産が上がっている時

●対象資産の値上がり益 + 対象資産の配当 + オプションプレミアム
※ただし、対象資産の値上がり益はある一定の水準で頭打ち

対象資産が下がっている時

●対象資産の配当+オプションプレミアム–対象資産の値下がり損–オプション精算分のコスト

 

つまり、通常は対象資産の値上がり益と配当金だけだが…

よくわかるカバードコール戦略3

カバードコール戦略の収益源はこうなる。

よくわかるカバードコール戦略4

以上の図式が成り立つわけです。
カバードコール戦略を行えば、対象資産が値下がりしても、原資産の配当とオプションプレミアム分だけ値下がり率は軽減されるからいいよね?という理論です。

 

一見、聞こえの良い設計に見えますが、
大手証券が出している資料には重大な欠点があります。

それは、コスト分が考慮されていない点です。

 

カバードコール戦略が危険だといわれる最大の理由

ずばり言いましょう。

カバードコール戦略はコストが高すぎる

これが、カバードコール戦略が危険だといわれる最大の理由だと考えます。

 

カバードコール戦略は、現物資産を持ちつつ、コールオプションの売りをする戦略。
当然、現物資産を持つコストと、
オプション取引のコールオプションの売りを行うコストがかかります。

よくわかるカバードコール戦略5

だからカバードコール戦略を行っている投資信託は、一概に信託報酬が高めに設定されています。
2重にコストがかかっている状態ですから当然です。

 

結局、証券会社や素人に毛が生えた程度のインフルエンサーに感化されてカバードコール戦略の金融商品を買った人たちはどうなったでしょうか。

 

私が見てきた中で、「ちゃんと儲かった」という人は少ないという印象です。

  • 結局高いコスト分をまかなうだけのオプションプレミアムと分配が得られず、自分が投資した原資を取り崩すタコ配になる投信が続出
  • 値上がり分が限定されるため、相場上昇時の旨味を得られず、かつ下げ相場の影響はモロに食らうため、資産が一向に増えない

こんな投資家さんを山ほど見てきました。

 

もちろん、カバードコール戦略が有益となる相場はあります。
ですが、そんな相場はあまり長続きしないため、カバードコール戦略が有益となる相場環境が過ぎれば、カバードコール戦略の金融商品を減らして、その相場にふさわしい金融商品に置き換える、リバランスを常に行う投資家でなければ、絶対に生き残れません。

 

「買ったらずっと放置」してはいけない金融商品としての代表格だと思っています。
なのに、この戦略は高配当をうたっているので、ずっと持ち続けられる商品だと勘違いしている人がなんと多いことか…

 

最後に、カバードコール戦略が有益となる相場環境と、逆にこんな相場環境はやめとけ、という状態を簡潔に書いておきます。

 

カバードコール戦略が有益な時

  • 踊り場相場
  • 逆金融相場から逆業績相場の転換点(ただし、限定的)
  • REIT等が原資産で、ある程度安定的な値動きをするものが設定されている場合

 

カバードコール戦略が不利になる時

  • 上昇相場(資産の値上がり率が限定されるため。普通に原資産を買った方がいい)
  • 金利の上昇が買いまみれる時(金利上昇時はほとんどのリスク資産が売られるのでその下げに耐えられないため)

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

カバードコール戦略は、うまくいっている時は高配当の分配金を出してくれるため、「良さげ」な金融商品として広まっています。

ですが、カバードコール戦略が有力な投資環境以外で投資を行ってしまうと思わぬ損失を被る可能性があります。

リスクとリターンをきちんと理解し、自分の資産を増やす糧にしてくださいね。

それでは!