freeeは2024年2月26日、主力の会計ソフトの法人向けプランを7月1日から改定すると発表しました。
freeeのクラウド会計ソフト法人向けプランは、企業の事業規模に合わせて4つのプランを提供していましたが、中小企業向けプランを強化するなどで5つに増やします。
この記事は、そんな値上がりを発表したfreeeの会計クラウドを利用している利用者が、このまま値上がりした利用料金のまま使い続けるのが吉なのか、
それとも他の代替クラウド会計システムに乗り換えた方がいいのかを検証、比較した記事です。
- freeeの法人契約をしている担当者がこのまま契約を続けるべきか経営陣にプレゼンしなくちゃいけなくて情報を探している
- 小規模事業者の担当者・個人事業主がfreeeの値上げでプランを見直すべきか検討している
- 新規で会計ソフトを探している人が実際、どう変わるのか、契約してもいいものなのか情報を探している
こんな人たちの参考になれれば幸いです。
freeeの値上げでどう変わるのか?
まずはfreeeの値上げでプランがどう変わるかおさらいです。
ちなみに、このfreeeの法人会計プランの値上げ、
2024年1月18日時点ですでに300円ほど値上げされているのですが、
今回フォーカスするのはその後発表された2024年7月からの値上がりについてです。
値上げラッシュですな。
(旧)ベーシック
3,980円/月(年間利用)
5,280円/月
新コースは下記の2コースどちらか
(新)スターター 5,480円/月(年間利用) 7,280円/月 | (新)スタンダード 8,980円/月(年間利用) 11,980円/月 |
→→→新料金体系ではこっちに代わるよ
(旧)プロフェッショナル
39,800円/月(年間利用)
47,760円/月
新コースは下記の2コースどちらか
(新)スタンダード 8,980円/月(年間利用) 11,980円/月 | (新)アドバンス 39,780円 |
→→→新料金体系ではこっちに代わるよ
(旧)エンタープライズ
要相談
新コースは下記の2コースどちらか
(新)アドバンス 39,780円 | (新)エンタープライズ 要相談 |
→→→新料金体系ではこっちに代わるよ
freeeの法人プランの値上げが発表されましたが、何がどう変わったのか今一つ分からない、という人向けに簡単・わかりやすくご説明します。
freeeのプラン2024年7月からの値上げのわかりやすいポイント
- プラン値上げは法人プランのみ!個人プランは今のところ値段に変更なし。
- 旧プランは全4コースだったのが新値上げプランでは全5コースに。
- 旧プランのそれぞれのコースに、選べる2コースを用意し、より多くのユーザーにぴったりのプランを提供。
- インボイス制度・電子帳簿保存法の本格運用に合わせて取引情報の自動入力をはじめ業務負担を大幅に軽減する機能を拡充。
freee法人プランの値上げのポイントは以上の4つです。
そもそも、なぜfreeeが法人プランの値上げに踏み切ったのか、理由はポイント④で説明できます。
2023年10月からインボイス制度が開始、
2024年1月から電子帳簿保存法の本格運用開始され、
経理・財務・総務関連の負担は大きくなってきています。
この税務業務周りの業務負担軽減のために、freeeは機能を大きく拡充。
それに合わせて料金体系も見直したのが今回の値上げのニュース、というわけです。
freeeの法人会計プランミニマムコースを契約していた人の比較検討項目
freeeの法人会計プランのミニマムコースを契約してる方は、
新プランからは「おひとり様法人」か「スターター」のどちらかの2択となります。
(旧)ミニマム
1,980円/月(年間利用)
2,680円/月
新コースは下記の2コースどちらか
(新)おひとり様法人 2,980円/月(年間利用) 3,980円/月 | (新)スターター 5,480円/月(年間利用) 7,280円/月 |
ここで疑問が出てくるのですが、freee法人会計プランの「おひとり様法人」を選ぶなら個人会計プランの安いプランを選んでもよいのでは?という疑問が出てきます。
ここらも含めてそれぞれのプランを比較・検討してみましょう。
個人会計プラン スタンダードでできること
確定申告
インボイス対応
消費税申告
決算書
法人会計プラン
おひとり様法人でできること
受発注書類作成(無料プラン相当)
入出金資金繰り管理
経営分析・管理会計(資金繰りレポートのみ)
勘定科目内訳表・支払調書
同期できる銀行は20行まで
法人会計プラン
スターターでできること
受発注書類作成(スタンダードプラン相当)
入出金資金繰り管理(振込用/管理レポート)
経営分析・管理会計(収益/費用レポート)
勘定科目内訳表・支払調書
同期できる銀行は20行まで
経費精算・支出管理
今までfreeeの法人会計プランのミニマムコースを契約していた人は、今度の値上げで選択肢としては3つになると思います。
- 個人会計プランのスタンダードコースに変更する
- 法人会計プランのおひとりさま法人コースにする
- 法人会計プランのスターターコースにする
①の法人会計プランから個人会計プランのスタンダードに変更した場合、法人会計プランが1,980円/月。一方、個人会計プランのスタンダードコースの料金は1,980円/月です。
実は料金的にはまったく変化はありません。
会計プランの法人コースと個人コースの大きな違いは、「出せるレポートの種類」の違いです。
見積書、請求書、納品書の作成や消費税申告書の作成など、基本的な必要最低限な会計機能はfreeeでは個人の会計プランでも法人会計プランでも同じように出来るのですが、
1人法人であっても、資金繰りデータや勘定科目内訳表などのレポートが出せるようになっているのが法人会計プランです。
個人的に思う「どっちがいいのか」の基準は、
- 売り上げの規模
- 今後の資金調達の規模
で変わると思います。
当然、売上が年間で1,000万円ない事業体では厳密な消費税申告書は必要ありませんでしたが、こちらはインボイス開始により、売り上げが1,000万円無くてもインボイス発行事業体なら報告義務があるため、これに対応するためにfreeeに月2,000円を払い続ける
というのはまぁ、理には適っているでしょう。
一方で、法人会計プランを選び続ける理由としては、今後の資金調達規模を拡大させたいと考えている方は、個人プランより法人プランをおススメします。
銀行からお金を借りる際、
また、なにかの助成金を申請する際、
必要になってくるのは「事業体のお金の流れが分かる書類」だからです。
逆に言えば、こういった資金調達需要がまったくない個人事業主なんかは、今回の値上げによって法人プランを切って個人プランに切り替えてもいいでしょう。
個人会計プランのスターターにするのであれば、月々980円まで料金を落とすことが出来ます。
ただし、個人会計プランのスターターでは「BS/PL書」が出ません。
決算書はいらんなーと思っている人は安くできるってわけか。
法人会計プランのおひとり様プランとスタータープランの違いは経費精算・支出管理の機能が使えるか使えないかの点です。
小口精算や経費精算、エクセル表やアクセスで管理しようと思えば出来るっちゃできるけどね…
経費精算業務が確立されている事業体は月々2,500円が経費削減できるわけね。
まぁでも管理してみると結構めんどうなので、そこにお金払ってもいいやと考える事業体は多いとは思うね…
freeeの法人会計プランベーシックコースを契約していた人の比較検討項目
(旧)ベーシック
3,980円/月(年間利用)
5,280円/月
新コースは下記の2コースどちらか
(新)スターター 5,480円/月(年間利用) 7,280円/月 | (新)スタンダード 8,980円/月(年間利用) 11,980円/月 |
法人会計プラン
スターターでできること
受発注書類作成(スタンダードプラン相当)
入出金資金繰り管理(振込用/管理レポート)
経営分析・管理会計(収益/費用レポート)
勘定科目内訳表・支払調書
同期できる銀行は20行まで
経費精算・支出管理
法人会計プラン
スタンダードでできること
受発注書類作成(スタンダードプラン相当)
入出金資金繰り管理(振込用/管理レポート)
経営分析・管理会計(収益/費用レポート)
勘定科目内訳表・支払調書
同期できる銀行は50行まで
経費精算・支出管理
内部統制(月締め)
部門無制限
freee法人会計プランのベーシックプランを契約している人は、2024年7月の値上げ時には2つの選択肢があります。
- 法人会計プランのスターターにする
- 法人会計プランのスタンダードにする
このクラスは、最低プランであるスターターでも1,500円の値上げになってしまいます。
それよりも、スターターとスタンダード、どうっちがどう違うのか気になりますよね。
スタンダードプランにした場合、月々の負担が8,980円ですので、現状から5,000円もアップしてしまうのは結構インパクトあると思います。
えー、5,000円の違いは、同期できる銀行が50行まで増えることと内部統制(月締め)の機能が使える点です。
あと、各レポートの部門がスターターでは2部門しか作れませんが、スタンダードではこの制限がありません。
つまり、複数の事業部門を抱える組織以外は、安い方のスタータープランで十分。
逆に色んな事業をしている組織は、お高くはなるけどスタンダードプランにしときましょう、というわけです。
freeeの法人会計プランプロフェッショナルコースを契約していた人の比較検討項目
(旧)プロフェッショナル
39,800円/月(年間利用)
47,760円/月
新コースは下記の2コースどちらか
(新)スタンダード 8,980円/月(年間利用) 11,980円/月 | (新)アドバンス 39,780円 |
法人会計プラン
スタンダードでできること
受発注書類作成(スタンダードプラン相当)
入出金資金繰り管理(振込用/管理レポート)
経営分析・管理会計(収益/費用レポート)
勘定科目内訳表・支払調書
同期できる銀行は50行まで
経費精算・支出管理
内部統制(月締め)
部門無制限
法人会計プラン
アドバンスでできること
受発注書類作成(アドバンス相当/ワークフロー)
入出金資金繰り管理(振込用/管理レポート)
経営分析・管理会計(収益/費用レポート)セグメントタスク3つまで
勘定科目内訳表・支払調書
同期できる銀行は100行まで
経費精算・支出管理←購買/支払/申請
内部統制(月締め)
部門無制限
プロフェッショナルコースを契約していた人も、基本的な考え方は上のと一緒。
事業規模に合わせて、あった方を選ぶと良いです。
アドバンスコースになると、連携できる銀行数も3桁になりますし、会計機能もレポート機能もほぼフル機能が使えます。
自分たちの組織がどのプランにあってるのか、それぞれに照らし合わせるのが大事ですね。
freeeの会計プランから他社へのプランへ見直すべきか?競合最大手マネーフォワードのプランと比較
freeeの法人プランが値上げしてしまうので、マネーフォワードとか他のクラウド会計プランにしたほうがいいのか迷っている方へ。
マネーフォワードのクラウド会計プランは、会計よりと思いきや中身は結構総務寄りな機能が多いため一概には比較できない部分があります。
例えば、freeeのミニマムコースを契約していた人は、マネーフォワードならこのプランが検討されるプランとなるでしょう。
マネーフォワードクラウド会計
小規模事業者向け
無料あり
3,980円/月
35,760円/年
このコースでできること |
---|
納品書作成 |
決算書の作成 |
freeeの個人スタンダードプラン・おひとり様法人プランとマネーフォワードの小規模事業者向けプランの月額料金はほぼ一緒です。
料金の違いは無いため、サービス内容の中身で決める必要があるのですが、決定的な違いは以下の点があると思います。
freeeとマネーフォワードのプラン 決定的な違い
- マネーフォワードの小規模事業者向けプランだと消費税の申告書作成プランが無い(これをつけるともっと高くなる)
- マネーフォワードだと楽天銀行とのAPI連携が無いためこの銀行をメインにしている事業者にはおすすめしない
こんな感じです。
逆に、マネーフォワードはfreeeより経費精算や勤怠管理、給与管理機能がついているので、こっち側の機能に魅力を感じる事業者さんはマネーフォワードの方が便利です。
でも楽天銀行と連携できないのは痛いのよね…
ね…
マネーフォワードとfreeeのプランを詳細まで比較したのはこちらの記事の方が詳しく書いています。
freee会計プランのメリット・デメリットからfreeeのいいところ・悪いところを検討する
freee会計プランのデメリット
・請求書を送る時、PDF添付できない(URL形式)
freeeのプランで見積書・請求書の作成ができると謳っていますが、請求書作成画面で請求書メールにPDFの添付が出来ないので、困っている人が結構いる。
・会計知識が豊富な人にはfreeeの機能は逆に使いづらい。
freeeは「会計知識がない人でも会計業務出来るように簡素化されたクラウド会計システム」のため、逆に知識のある人にとっては使いづらい印象があるようです。簿記2級クラスを持っている会計マンは他のクラウド会計システムを検討してみたほうがよさげ。
freee会計プランのメリット
・楽天銀行からfreee会計へのデータの同期が再開。データの自動連係が可能。
競合のマネーフォワードは楽天銀行とのAPI連携をしていないので、楽天銀行を使っている人はfreeeの方が便利になる。
まとめ
以上、2024年7月freeeの法人会計プラン値上げによる各プランの変更点と内容について比較検討してみた、でした。
2024年7月の値上げは、値上げ率的には大きな変動にはなりますが、その分、freeeの契約で出来ることを500機能増やしたアップデートとなりますので、
この機会に削減できるところは削減したり、
クラウド会計機能で一元化できるところは検討したりと、
色々比較検討してみるといいと思います。
皆様のご参考になれましたら幸いです。